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超小型衛星の熱制御材料として新日本電工の二酸化バナジウム系潜熱蓄熱材料を採用~今秋に宇宙実証へ~

2024/06/25

 新日本電工の高性能二酸化バナジウム(VO2)系潜熱(※1)蓄熱材料が、関西大学(プロジェクトマネージャー:山縣雅紀化学生命工学部准教授)らのグループが開発した超小型人工衛星「DENDEN-01」の衛星用電源温度安定化デバイスに採用されました。

 人工衛星の中でも100kg未満の衛星は超小型人工衛星と呼ばれ、その中でも1辺10cmの立方体を基本構造として規格化されたキューブサットの開発・利用が急速に進んでいます。しかし、キューブサットには電力、重量、サイズの制限があり、熱容量も小さいため、宇宙空間の急激な温度変化に弱いという課題があります。特に、搭載機器の一つである電源は、低温にさらされることで性能が極端に低下し人工衛星のトラブルにつながります。
 この課題に対して信頼性の高い電力供給を実現するため、新日本電工は関西大学と共同で、宇宙環境の厳しい温度変化に対応できる二酸化バナジウム(VO2)系潜熱蓄熱材料を開発しました。この材料は蓄熱および放熱機能を持ち、転移温度(※2)や転移応答性を最適化することで高性能を発揮します。この材料を用いた新たな人工衛星用電源温度安定化デバイスは、キューブサットの運用時の電力消耗を低減し、電源を一定の温度範囲に維持することで、安定した電源性能を発揮することが期待されます。
 この人工衛星用電源温度安定化デバイスは、山縣准教授らのグループが共同開発した「DENDEN-01」に搭載され、実際の宇宙空間で実証実験が行われる計画です。

 新日本電工の高性能二酸化バナジウム系潜熱蓄熱材料は今後の超小型人工衛星の高機能化開発を加速し、日本の宇宙産業発展に寄与することが期待されます。

※1:潜熱とは物質が相変化する際に必要とする熱で、温度変化を伴いません。
※2:転移温度とは結晶構造の変化を起こす温度のことで、この変化に伴い熱を吸収または放出することができます。

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左:二酸化バナジウム系潜熱蓄熱材料を採用した電源温度安定化デバイス
中央:実証用人工衛星DENDEN-01(太陽電池パドル展開時)
右:宇宙空間でのイメージ図
(画像提供: 関西大学)

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